「英語を話せると思って採用したのに、仕事に入ったら全く英語が使えず困った」
このように感じている企業の採用担当者が増えていると言われています。TOEICや英検をはじめとするテストで良いスコアや級を取得することは素晴らしいですが、実際に英語を話せるかどうかはまた別なのです。
ビジネスの現場で使える英語力を測定するテストとして世界的に有名なものに、Linguaskill Business(リンガスキルビジネス)という試験があります。
企業としては、ビジネスの場面で英語が使える人材を発見することができ、受験者は就職や転職活動時のアピール材料として、あるいは英語学習のペースメーカーとしてLinguaskill Businessを活用することができます。
この記事では、Linguaskill Businessの概要やテストの構成、結果判定方法などについてお伝えしていきます。
Linguaskill Businessスピーキングテストとは?
Linguaskill Businessは、ビジネスの場面で必要となる英語のコミュニケーションスキルを測定するテストです。そのため、テスト内容はビジネスに関する実務的なものとなります。
英検やTOEICに比べると、まだ日本での認知度は低いかもしれません。しかし、ケンブリッジ大学英語検定機構が開発したテストで、ヨーロッパやアジアなど多くの国の企業を中心に採用されており、年間約150万人がLinguaskill Businessを受験しています。
このように、Linguaskill Businessはビジネスに直結した英語力を測るテストのため、日本でも三井物産をはじめとする多くの企業が導入し、採用時やグローバル人材育成の研修時などに活用しています。
画像:Linguaskill Business公式ホームページより引用
ちなみに、Linguaskill Businessは英語4技能のスキルを測るテストですが、好きなスキルのみを選んで受験することも可能です。つまり、スピーキングテストのみを受験したい場合は、ほかのリーディング、リスニング、ライティングの試験を受ける必要はありません。
Linguaskill Businessの評価は、世界基準であるCEFRに基づいて行われるため、国際的な基準で英語力を確認できます。また、合わせてケンブリッジ英検でも用いられているCambridge English Scaleのスコアも表示されます。
もっと詳しくLinguaskill Businessについて知りたい場合は、全編英語となりますが、公式動画をチェックしてみてください。
Linguaskill Businessのテスト概要
それでは、Linguaskill Businessのテスト概要を見ていきましょう。
下の一覧表をご覧ください。
受験資格 | 特になし |
料金 | ・リーディング&リスニング:2900円・スピーキング:6900円・ライティング:3900円 【セット割引】・リーディング&リスニング+スピーキング:8900円(900円割引)・リーディング&リスニング+ライティング:5900円(900円割引)・4技能すべて:11900円(1800円割引) |
受験可能時間 | ・団体:相談の上、希望の日時・会場にて実施・個人(会場受験):東京と大阪で実施・個人(リモート受験):24時間受験可能 |
受験時間 | ・リーディング&リスニング約60~90分・スピーキング約15分・ライティング約45分 |
結果返却 | 受験終了3営業日後 |
使用可能デバイス | パソコン |
出題内容 | ビジネス英語 |
採点方法 | AIによる自動採点と試験官による採点(ハイブリッド) |
評価方法 | CEFR(A1〜C2ランク)で評価 |
上記の一覧表を見て頂くと分かるように、Linguaskill Businessは団体と個人で受験方法が異なります。個人受験でリモートを選択した場合は、24時間いつでも受験可能です。
会場受験を選択する場合、試験スケジュール表はこちらになります。1か月に1回のペースで試験が行われており、平日実施の月と週末実施の月がありますので注意してください。
テストは4技能すべて受験することも可能ですし、好きなものだけを選んで受けることもできますが、リーディングとリスニングについては、必ず2技能をセットで受験する必要があります。
Linguaskill Businessの問題構成
それでは、Linguaskill Businessの出題形式や構成について説明していきます。
内容 | 問題数 | 回答時間 | |
Part 1 | インタビュー | 8問 | 設問1~4:各10秒設問5~8:各20秒 |
Part 2 | 音読 | 8問 | 各10秒 |
Part 3 | プレゼンテーション | 1問 | 60秒(準備別途40秒) |
Part 4 | グラフを用いたプレゼンテーション | 1問 | 60秒(準備別途60秒) |
Part 5 | コミュニケーション | 5問 | 各20秒(準備別途40秒) |
すべて、パソコン画面に表示される問題文を読み、マイクとヘッドセットを使って回答を録音します。
スピーキングテストについての詳しいチュートリアルが公式サイトに掲載されていますので、ぜひご覧ください。
Linguaskill Businessスピーキングテストの問題例
それぞれのパートではどのような問題が出題されるか、以下で解説していきます。
Part1の問題例
自分自身について短い質問がなされるので、それに対して英語で答えます。前半の4問は各10秒、後半の4問は各20秒の持ち時間があるので、目いっぱい使って話をしましょう。なお、最初の2問は採点されません。採点対象となるのは残りの8問です。
ちなみにチュートリアルでは、Question1は”What’s your name?”でした。
ほかには、出身地や仕事内容、将来のキャリアプランなどについて問われるようです。
Part1については「自分自身のことを話す」と決まっていますので、出身地や趣味について、仕事について話ができるように準備しておきましょう。
とくに、Linguaskill Businessはビジネス場面の英語力を測定するため、仕事関係の質問が多い可能性があります。どんな仕事をしていて、何がきっかけでその仕事をするようになったのか、今後はどのように働いていきたいかなど、細かい点まで話ができるよう準備しておいてください。
Part2の問題例
画面に表示された英文を音読します。サンプル問題では、”The team needs sales staff who can speak more than one language.”という文章が表示されていました。
発音が評価されますので、慌てずにハッキリとした声で読み上げましょう。対策法としては、オンライン英会話などで直接ネイティブスピーカーから指導を受けるほか、発音チェックができるスマホアプリなどを利用することをお勧めします。
Part3の問題例
与えられたトピックについて、40秒間の準備後、1分間のプレゼンテーションを行います。論理的にプレゼンテーションが行われているかどうかや、文法の正しさや語彙力についても判定されます。
サンプル問題では、”Talk about a training course you have attended for your work.”(あなたが仕事で参加したトレーニングコースについて話してください)というトピックが与えられました。
回答には、以下の3点を含めるように指示があります。
You should say:
・what the course was(コースはどうだったか)
・why you did the course(なぜそのコースを受講したのか)
・whether you would recommend this course(このコースをお勧めするかどうか)
何について話すべきかが提示されているため、後述するPart4よりも取り組みやすい問題です。しかし、話し慣れていないと時間内に3つのポイントをまとめることができず、減点となってしまいます。
対策としては、最初と終わりにはこう話すというテンプレートを作成しておきましょう。「これから〇〇について話します」と述べた後に、「まず最初に・・次に・・最後に・・」と述べて、「以上で終わります。聞いてくださってありがとうございました」と締める。
このようなテンプレートを作成し、様々なテーマで回答ができるように練習を重ねておくことをお勧めします。
ちなみに、回答内容は本当のことではなくても構いません。上記のサンプルであれば、「なぜそのコースを受講したのか」と問われ、「受けたくなかったが、上司から強制されたので仕方なく」とは答えられませんよね?
仮にそうだったとしても、「コースに含まれていた〇〇というプログラムが、私が担当している〇〇という業務の効率向上に役立つものだったからです」などと答える必要があります。
Part4の問題例
グラフから読み取れる内容について、分かりやすく説明していきます。サンプル問題では、ある会社に4年間で寄せられた苦情の種類や割合についてのグラフが示され、4年の間に苦情の種類がどう変化したのかについて述べるようになっていました。
Part3とは異なり、答えるべきポイントが細かく指定されていません。しかし、Part3と同様テンプレートを作成しておくことで、回答しやすくなるでしょう。
具体的には、「何についてのグラフなのか」「グラフで述べられている内容」「減った、増えたなど数字の変化があった箇所についての説明」を必ず入れるようにしてください。
サンプル問題であれば、”types of complaints”(苦情の種類)という見出しがついていますが、この見出しは必ず回答に含めましょう。
Part5の問題例
提示されたトピックに関するロールプレイを行います。
サンプル問題は、以下のようになっていました。
“A business owner is thinking about using sponsorship to publicise his company. He wants to find out your opinion about the best way to organise a sponsorship programme.”
He will ask you questions about:
・benefits for companies
・who to sponsor
・length of sponsorship
・possible problems
・judging success
自分の意見とその根拠を述べ、具体例も合わせて述べることができると高評価につながると考えられます。しかし、どのような問題が出るかは分かりませんし、事前に対策するのは難しいでしょう。
Part4までの準備を重ねておくと、英語を話すことに対する抵抗感が薄れてくるはずです。Part5の準備よりもまずは、Part4までに集中して対策することをお勧めします。
公式サイトでは、オンライン版のサンプルテストを公開中です。実際にどのような問題が出題されるのか、受験前に必ず確認しておいてください。
結果はどのように表示されるのか?
Linguaskill Businessの評価は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に基づき評価が行われ、以下のような結果シートが送付されます。
画像:Linguaskill Business公式サイトより引用
最高でC1レベルまでの判定がなされますが、詳しい評価基準はこちらから確認してください(英文)。
まとめ
この記事では、ビジネスシーンでの英語スピーキング能力を測るテスト、Linguaskill Business(リンガスキルビジネス)についてご紹介してきました。
世界的によく知られているテストで、日本でも三井物産など導入企業が増えてきています。就職希望者や社員の英語スピーキング力を的確に判断することができるようになるため、採用時やグローバル人材育成の研修時などに活用されています。
この記事が、Linguaskill Businessに興味のある方にとってお役に立てたら幸いです。