「IELTSのスピーキングテストが難しい」という声をよく聞きます。
IELTSのスピーキングテストは試験官との自由会話というイメージが強く、とらえどころがないと感じる人がいるかもしれません。しかし、ポイントを押さえておくことで話しやすくなり、高得点につながります。
短い準備時間で話す内容をまとめる必要があるため、普段から戦略的に準備し、練習を重ねることが大切です。
この記事では、IELTSの概要やスピーキングセクションの問題例、対策方法などを紹介していきます。
IELTSとは?
IELTS(アイエルツ)とはInternational English Language Testing Systemの略で、イギリスやオーストラリアなどを中心とする英語圏への留学を希望する人が、英語力を証明するために受験するテストです。
IELTSは2種類のテストに分かれており、留学希望者向けのアカデミックモジュールと、海外移住申請用のジェネラルトレーニングモジュールがあります。スピーキングとリスニングはどちらのモジュールも同じ問題ですが、リーディングとライティングの問題はそれぞれ異なります。
2019年から東京と大阪会場で、Computer-delivered IELTSが開始し、希望者はパソコンを利用してテストを受験できるようになりました。しかしスピーキングテストは、筆記版、コンピューター版とも面接官との対面式で行われます。
IELTSの概要
それでは、IELTSのテスト概要を見ていきましょう。
日本で受験者の多い、アカデミックモジュールの概要は以下になります。
受験資格 | 特になし(16歳以上を推奨) |
料金 | 25380円 |
受験日 | 全国16都市のセンターでほぼ毎週末受験可能。実施日はセンターによって異なる。スピーキングテストのみ翌日受験(合計2日間)となる場合もあり |
受験時間 | 約2時間45分(スピーキングテストは11~14分) |
結果返却 | 終了13日後に確認可能、同時に公式スコアレポートが発送される |
使用可能デバイス | Computer-delivered IELTSを選択した場合、パソコンを使用 |
出題内容 | 英語圏の大学・大学院で必要なアカデミック英語 |
採点方法 | 研修を受けた試験官による採点 |
評価方法 | 各セクション、総合とも1.0から9.0までの0.5刻みのバンドスコアで表示 |
4技能すべてのテスト時間は約2時間45分ですが、問題用紙の配布や回収の時間を含めると、スピーキング以外の3技能だけで約3時間半かかります。
同日受験の場合、そのあと午後1時から7時までスピーキングテストが行われます。待ち時間が長い場合は、朝から晩まで一日がかりの試験になる可能性があるので注意が必要です。
IELTSスピーキングテストの問題構成
IELTSのスピーキングテストは以下の3つのパートに分かれ、試験官と話をしながら、解答が録音されます。
パート | 内容 | 解答時間 |
1.自己紹介とインタビュー | 家族や仕事、趣味などについて話す | 4~5分 |
2.スピーチ | 特定のテーマについて話し、試験官からの質問に答える | 3~4分(準備1分)(スピーチ1~2分) |
3.ディスカッション | パート2に関連するその他の質問について答える | 4~5分 |
IELTSスピーキングテストの問題例
IELTSのスピーキングテストではどのような問題が出題されるか、以下で解説していきます。
パート1:自己紹介とインタビュー
お互いの自己紹介の後、パスポートで受験者の本人確認を行い、テストが始まります。仕事や家族、趣味などに関する身近なテーマの質問がなされ、それに対して答えていきます。
自己紹介なので簡単だと思うかもしれませんが、パート1でできるだけ高いスコアを取れるように、事前に準備をして臨んでください。パート1の答え方によって、パート2以降の質問内容や難易度が変わる可能性があるからです。
パート2:スピーチ
試験官から、トピックと話すべきポイントが書かれたタスクカードが渡されます。鉛筆と紙も渡されるので、1分の準備時間でメモを取り考えをまとめましょう。そして、トピックについて1〜2分間話します。スピーチが終わったら、試験官がトピックについて1つか2つの質問をします。
たとえば、以下のようなトピックが出題されます。
「健康のためにあなたが行っている活動について説明しなさい」
スピーチには以下の3つのポイントを含め、その活動がどうあなたの健康維持に役立っているかを説明してください。
・何を行っているか
・どのくらいの頻度で行っているか
・どこで行っているか
答える際には、できるだけ具体的に説明するようにしましょう。少し文法的な誤りがあったとしても、止まらずに長く話し続ける方が高評価につながります。コンピューターテストとは異なり、制限時間を超えたら録音がストップしてしまうこともないため、2分の制限時間を目いっぱい使うつもりで話してください。
パート3:ディスカッション
試験官がパート2のトピックに関連する、さらに掘り下げた質問をします。たとえば先ほどパート2で取り上げた例題の場合、次のような質問がされるでしょう。
・健康維持のために行っている活動を続けるうえで、問題になることは何だと思いますか?
・メディアでも健康維持の大切さについて語られていますが、あなたが健康維持のために活動しようと思ったキッカケは何でしたか?
受験者は一貫性のある意見を述べなくてはなりませんが、パート1や2のように事前に質問を予測したり、解答の型を決めたりすることができません。オンライン英会話などを利用して練習を重ねていきましょう。
スピーキングテスト解答のポイント
IELTSでは、AIではなく試験官が採点するため、「解答内容に一貫性があり、自然な流れになっていること」がとても重要です。そのため、言葉に詰まってしまったときも、”Well, let me think…”(ちょっと考えさせてください)などを挟みこむことで自然であると見なされます。分からないからと言って黙ってしまうと、減点対象になるので注意です。とにかく話し続けることを意識してください。
また、一貫性を持たせるためには、自分の意見を述べた後には必ず理由も合わせて説明する癖をつけましょう。そして、自然な会話を行うためには、身振り手振りを使ったり、試験官の目を見て話したり、笑顔で話したりといったことも大切です。とくにパート1の自己紹介では、笑顔を絶やさずに話ができるよう、練習を重ねていきましょう。
実際にどのような解答をすればよいかについては、IELTSの公式サイトで受験者がスピーキングテストを行うサンプル動画が公開されていますので、ぜひご覧ください。
バンドスコア別に公開されているため、目標スコアを達成するためにはどの程度のスピーキング力が必要なのかも分かり便利です。また、試験官と受験者との距離やアイコンタクト、ボディーランゲージといった言語能力以外の要素もチェックできます。繰り返し見てテストの様子をイメージしておきましょう。
結果はどのように表示されるのか?
IELTSの結果は、以下のようなレポート形式で表示されます。
4つのスキルごとに1~9の段階評価で示され、総合評価(オーバーオールバンドスコア)は0.5刻みで示されます。スコア別の評価は以下の通りです。
スピーキングテストは、以下の4点について評価されます。
・Fluency and coherence(流暢さと一貫性)
・Lexical resource(語彙力)
・Grammatical range and accuracy(文法知識と正確さ)
・Pronunciation(発音)
詳しい評価基準について知りたい場合は、IELTSが公表している資料をご覧ください。
まとめ
この記事では、イギリスやオーストラリアなどを中心とする英語圏への留学を希望する人が受験するIELTSについてご紹介してきました。
スピーキングテストは面接官と1対1で行われ、一貫性のある自然な会話ができるかどうかを評価されます。ある程度の出題パターンは決まっているため、解答テンプレートを作成し、練習を重ねることでスコアアップを達成していきましょう。
この記事が、IELTSスピーキングテストに興味のある方にとってお役に立てたら幸いです。